とにかく猫が可愛い!『骨董猫屋』

2019年6月22日

 

書籍情報

・タイトル:『骨董猫屋』
・著者:鷹野久
・出版社名:少年画報社(ねこぱんちコミックスねこの奇本)
・発行年:2016/12/26
・本のサイズ:B6判((横128×縦182×厚さ16mm)
・分類:コミック
・総ページ数:216ページ
・定価:本体680円+税

 

概要

表題作の「骨董猫屋」の他、「お江戸猫屋」「猫飛脚」「NORMAN’sCafe~無口な猫のお店~」という3作品が収録されている傑作集。
著者の鷹野久さんは『向ヒ兎堂日記』(全8巻、新潮社)を書かれた漫画家さんです。
優しい絵柄とほっこり、時に涙を誘う優しいお話をお書きになる方です。

 

オススメポイント

オススメポイント1!

この本を紹介する理由・・・それは、とにかく猫が可愛すぎるから!

写実的すぎず、かつ、デフォルメしすぎていない猫ちゃんたち。
ファンタジー要素もあり、猫が二足歩行したりしゃべったりお茶を入れてくれたり、と実際には有り得ない行動をしますが、その姿に違和感がないんです。
おそらく、二足歩行をしていても猫らしさを残して描かれているせいじゃないかと思います。
足はちゃんと踵が上がっていてつま先立ちのように描かれていたり、なで肩だったり、耳の向きや尻尾の動かし方であったり。
作者の鷹野さんは猫のことをよく観察なさってるんだなと感じます。
また、猫ちゃんたちの表情がとても豊かに描かれていることもこのマンガの大変な魅力になっているように思います。
照れたり、驚いたり、怒ったり。人間のようにコロコロ変わる表情は見ていて飽きることがありません。

 

オススメポイント2!

内容も素晴らしい!

ここまで猫の絵の可愛らしさについて述べてきましたが、もちろん内容もとても良いのです!
どのお話も猫が主役で、どのお話も読んだ後にほっこりすること間違いなし。あたたかい気持ちになります。

もう少し細かいお話をすると、表題作の「骨董猫屋」は現代の骨董屋を舞台にした和風ファンタジー。
ぼんてんという猫が主役です。
表紙で気持ちよさそうに寝ている子がぼんてんです。
この子が骨董品を鑑定してくれるんですが、それだけで終わらないのがこのお話。
その人が抱えている悩みや骨董にまつわる相談事をちょっと不思議な力を使って解決に導いてくれるんです。
収録作品の中で唯一の連作となっています。作品に関連性はないので独立した話としても楽しめます。

一点だけ、残念なことを上げるとするならば、このお話がこれで終わりだということ。
個人的にはぼんてんと骨董屋の店主の男性の関係性などがもっと知りたかった・・・!
そしてぼんてんをもっと見ていたかった・・・!!
続きが出ることを切に願っています。

「お江戸猫屋」と「猫飛脚」はお江戸が舞台のお話で、「お江戸猫屋」の方がファンタジー色が強めです。
「骨董猫屋」に猫はぼんてんしか(ほとんど)出てきませんでしたが、「お江戸猫屋」は猫2匹でダブルキャスト状態、
「お江戸猫屋」は3匹の猫が登場します。
猫ですがそれぞれ顔や体つきに特徴があって面白いです。
私のオススメ猫ちゃんは、「猫飛脚」の主人公である久兵衛という若猫。
1歳という年齢らしく、全体的に丸みを帯びたシルエットでぽってりという形容がふさわしいようなとても可愛らしい雰囲気です。
見ているだけで和みます。
周りにいる先輩猫と体つきを比較しながら読むのも面白いかもしれません。

「NORMAN’sCafe~無口な猫のお店~」は他の作品とは少し毛色が違い、人間大の二足歩行の猫が店主を務めるカフェのお話。
店主はノーマンという名前で、他の作品の猫とは違い無口です。(他の作品の猫たちはべらべらとしゃべりまくります。)
お客さんとしてやってきた幼稚園生くらいの少女とカップケーキを作るお話です。
他の作品が和のテイストだったのに対し、こちらは洋テイスト。
店内の小物やキッチン小物もアンティークな雰囲気が漂っていて私の好きな要素にぴったりでした。
ノーマンも少女もとても可愛らしく描かれており、読んでいて気持ちがあたたかくなります。
こんなお店があったら猫好きの私は間違いなく常連さんになることでしょう。
読んだ後、なんだかカップケーキを作って食べたくなりました。

 

まとめ

「骨董猫屋」は前項でも書きましたが、切実に続編を希望します・・・!!
ぼんてんにも店主にもまだまだ謎はありますし、お店自体も謎があります。
一緒に収録されている「お江戸猫屋」とお店の名前(猫屋)が同じなのも気になるところ。
なんとなく店構えも似ている気がするのですが・・・深読みしすぎでしょうか。
お読みになった方がいたらご意見伺いたいところです。
鷹野久さんが描く可愛らしい猫たち。
ぜひ手に取ってみてください。
続編を期待する気持ちがお分かりいただけるかと思います。