『私の神様』第1巻―少年の姿のまま永遠に生き続ける神様と、そんな神様に恋をした女子大生の切ない物語
書籍情報
・タイトル:『私の神様』第1巻
・著者:夢野つくし
・出版社名:株式会社スクウェア・エニックス
・発行年:2019/06/12
・本のサイズ:B6判(横128×縦182×厚さ15mm)
・分類:コミックス
・総ページ数:205ページ
・定価:600円+税
あらすじ
とある罪により、永遠に少年の姿で生き続ける呪いを受けた神様。
現代、神様は変わることのない少年の姿で小説家をしている。
そんな神様に幼い頃から恋心を抱いている、田舎の女子大生ー山城かずさ。
彼女もまた、先生には言えない罪を抱えていてー。
いつしか訪れる別れを感じながら
それでも一途に神様を思い、願う、静かな恋の物語。
第1巻には第1話から第5話まで収録されています。
第1話 私の神様
第2話 蝉と花火
第3話 百日紅
第4話 猫と雨
第5話 願い
おまけ
『私の神様』第1巻感想
切なくなるモノローグの数々
丸い吹き出しではなく、四角い枠線の中で区切られた言葉たち。
状況説明のため、第三者(作者)視点で語られることもありますが、
本作は主人公の山城かずさ視点で綴られています。
ポンポンとハイテンポに進む、というよりは、淡々と静かな語り口調。
この口調が、二人の別れを想起させて、読み進めるうちに切なさが増してきます。
また、かずさの秘密(罪)が明かされてからもう一度読み返してみると、
前半戦のモノローグやかずさの表情の意味、そのときの心情が違って捉えられ、
グッときます。
言葉選びも素敵で、詩や小説を読んでいるかのようです。
モノローグで締めくくられている1話から3話はとても余韻があって、
いつまでも物語の感情が心に残っているようでした。
読み終えた後、一度本を閉じ、目を閉じて、最後の言葉を頭の中で反芻したくなります。
猫が鍵の4話と5話
今まで紹介してきた漫画と異なり、全面に猫は登場していない本作。
しかし全く出ないというわけではありません。
1話目から登場はしています。
(個人的には1話目の33、34ページに出てくる猫が好きです。)
本格的に出てくるのは4話と5話目。
キーパーソンならぬキーニャンコとなっています。
このニャンコの登場によって、かずさの罪に大きく関わる人物(?)も出てきます。
かずさの罪、秘密に関わるこの方の正体は・・・漫画で確かめてみてください。
まとめ
私が『私の神様』と出会ったのは、
スクウェア・エニックスさんのweb雑誌、ガンガンONLINEでした。
ガンガンONLINEでは1話目と2話目、そのときの最新話が無料で読むことができます。
やさしい絵柄と神様のタイトルに惹かれ、作品紹介の言葉を読み飛ばし、
早速1話目を読んだ私は一気に作品の虜になりました。
1話目が読み終わるとすぐに2話目が読みたくなり、2話目も読み終わってしまうと早く次が読みたくなります。
無料で読むことができるのは数話しかないので、単行本発売情報を知り、私はすぐに書店へ向かいました。
じんわりと心に染みる本をお探しでしたら
私はこの一冊を強くおすすめします。
1話目が夏のお話なので、今の時期に読むとさらに物語に入り込めるような気がします。
巻末に、2巻は2020年初冬発売予定と書いてありました。
神様とかずさはこの後どんな日常を過ごしていくのか。
かずさの抱えた罪はどうなるのか。
穏やかで優しくて、だからこそ切ないこの時間はいつまで続くのか。
1巻の終わりは、何やら不穏な空気をまとって締めくくられていましたが、
はたして2巻はどんな展開になるのでしょうか。
年越しが待ち遠しいです。
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